俺はプラカノンでホテル住まいだった。
日本人との付き合いがある日は日本食。
タイに来たばかりで、
何が何でもタイ料理を食べたかったので、
時間がある日は、プラカノン周辺のローカル料理屋を探したものだ。
ここには隠れた名店が多い。
別に隠れているわけではないが、日本の情報誌にはあんまり出てこない。
ゲートウェイのエカマイ、
コンドー建設ラッシュのオンヌットにはさまれながらの、
ローカル最後の砦。
そんな愛すべきプラカノンに最高の名店がある。
スクンビットのソイ71を曲がり100~200mくらい行くと左手に見えてくる。
こいつだ。
このあたりで、オープンな感じで海鮮物とか並べているのですぐわかる。
今日は、日本から友人が来たので、久々にやってきた。
まずはチムチュムを注文する。
シーフードと豚だ。
ガスコンロ?
炭火に土鍋。
これがチムチュムの醍醐味だというのに、これも時代か!
まぁ、よい。
味がよければ問題ないのだ。
周りを見ればチムチュムをオーダーするタイ人もたくさんいる。
このスープがうまいのだ。
思い返せば、この店にはプラカノン時代に良く来たものである。
1年前に初めて来た時、かわいいウエイトレスがいた。
味もさることながら、それはまさに衝撃だった。
俺は、その子をプラカノンの天使と呼んだ。
タイ語もタイ料理もまだわからないあの頃、
おすすめ料理を教えてくれた。
コームーヤン。
ここのコームーヤンの本当に美味しい。
他のコームーヤンとの差をどう出しているのか不思議なほど、
ぶち抜いて美味のだ。
しかし、そんな味をも凌駕する天使。
20歳前後、決して美人ではなかったが、天使の笑顔は格別かわいかった。
応援したくなるような感覚。
ファンだ。
俺はすぐにプラカノンの天使のファンとなった。
俺はこの店を、天使の店と呼んだ。
そして、しばらくしてこの子はいなくなった。
この店にはビールのチャンのキャンペーンガールが働いていて、
俺たちが来るとプラカノンの天使と共にメニューを聞きにくる。
決して美人ではないが、この子も愛嬌があった。
美人よりも愛嬌が大切だ。
そんなことを俺に気づかせてくれた。
ナイスバディでは無かったが、むちむちだった。
そして、なによりそれは俺を魅了した。
スナックのママになってほしかった。
そんなママのお店に通いたかった。
そして、いつしかこの店をチャンガールの店と呼ぶようになった。
が、彼女もこの店からいなくなった。
キャンペーンガールだから仕方が無い。
3ヵ月後、オンヌットのナイトマーケットでチャンガールと再会することになるのだが。
プラカノンの天使とチャンガールが去ったこの店には、
なぜか、おかまばかりになった。
レディボーイのように華やかではない、ただのおかまだ。
おかまに対する偏見はないが、
天使とチャンガールの2枚看板を失った今、
引越ししプラカノンを去った俺にとって、
ここまで来る理由は、もう無かった。
2月14日。
非番のゴーゴーの子から連絡があった。
オンヌット住まいのTちゃんだ。
Tちゃんは人気店のゴーゴー嬢で、
人気嬢だ。
常にお客さんがついていた。
Tちゃんの勤務するゴーゴーバーには、日本から誰かが来るとよく行った。
別にペイバーする訳でも、豪遊したわけでもないが、
映画好き、料理好き、オンヌット住まいという共通点でLineを交換していた。
そして、はじめてご飯を行こうというお誘いが来た。
Tちゃんはプラカノンで美味しいタイ料理があるからといって、
偶然にもこのチャンガールの店に来た。
ここは室内にも部屋があって、音楽の生演奏がある。
やかましくて会話が聞きづらいが、タイ人はこういうのを好む。
俺たちは、魚の蒸したものを食べた。
味はおいしかったとしか覚えていない。
俺はそれどころではない。
2月14日という日。
俺を誘う。
ゴーゴーバーの子。
この後を期待する、いやダメだ。
それでは、その辺の奴と同じだ。
大人の余裕を見せるべきだ。
いや、でも向こうから、いやいや、相手はプロだ。
しかし今日はプライベート。
頭の中は、もんもんだった。
Tちゃんの話を聞くと、
プライベートでも仲の良かった男(日本人)ともめて、
出勤するとそいつに会うかもしれない。
今日はあいつの顔なんて見たくない。
だから、今日は一緒にご飯を食べて欲しかったの。
代役?
俺の存在とは何かと自分に問いかけたが、そんなことはどうでもよかった。
一緒にご飯食べて欲しかったの。
その一言に、
惚れ…かけた。
そのTちゃんとはそれから数ヶ月、
よく遊び、よく飲みに行った。
あの始まりは、
この店だった。
ここは始まりの店だった。
俺たちは、この店を始まりの店と名づけた。
Tちゃんとは今では某理由で連絡は無い。
結局、何も無かったので、あの店が始まりの店とはならなかった。
何も始まりはしなかったが、
映画に行き、料理を作ってきてくれたり、
ビアガーデン行ったり、ボーリング行ったり。
あのときの数ヶ月は楽しかった。
それでよいのだ。
いつか、この店を、始まりの店と呼べる事を願って。
おいおい、おめぇの思い出より、店の情報を載せろよと思った方は
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ローカル最後の砦。
そんな愛すべきプラカノンに最高の名店がある。
スクンビットのソイ71を曲がり100~200mくらい行くと左手に見えてくる。
こいつだ。
このあたりで、オープンな感じで海鮮物とか並べているのですぐわかる。
今日は、日本から友人が来たので、久々にやってきた。
まずはチムチュムを注文する。
シーフードと豚だ。
ガスコンロ?
炭火に土鍋。
これがチムチュムの醍醐味だというのに、これも時代か!
まぁ、よい。
味がよければ問題ないのだ。
周りを見ればチムチュムをオーダーするタイ人もたくさんいる。
このスープがうまいのだ。
思い返せば、この店にはプラカノン時代に良く来たものである。
1年前に初めて来た時、かわいいウエイトレスがいた。
味もさることながら、それはまさに衝撃だった。
俺は、その子をプラカノンの天使と呼んだ。
タイ語もタイ料理もまだわからないあの頃、
おすすめ料理を教えてくれた。
コームーヤン。
ここのコームーヤンの本当に美味しい。
他のコームーヤンとの差をどう出しているのか不思議なほど、
ぶち抜いて美味のだ。
しかし、そんな味をも凌駕する天使。
20歳前後、決して美人ではなかったが、天使の笑顔は格別かわいかった。
応援したくなるような感覚。
ファンだ。
俺はすぐにプラカノンの天使のファンとなった。
俺はこの店を、天使の店と呼んだ。
そして、しばらくしてこの子はいなくなった。
この店にはビールのチャンのキャンペーンガールが働いていて、
俺たちが来るとプラカノンの天使と共にメニューを聞きにくる。
決して美人ではないが、この子も愛嬌があった。
美人よりも愛嬌が大切だ。
そんなことを俺に気づかせてくれた。
ナイスバディでは無かったが、むちむちだった。
そして、なによりそれは俺を魅了した。
スナックのママになってほしかった。
そんなママのお店に通いたかった。
そして、いつしかこの店をチャンガールの店と呼ぶようになった。
が、彼女もこの店からいなくなった。
キャンペーンガールだから仕方が無い。
3ヵ月後、オンヌットのナイトマーケットでチャンガールと再会することになるのだが。
プラカノンの天使とチャンガールが去ったこの店には、
なぜか、おかまばかりになった。
レディボーイのように華やかではない、ただのおかまだ。
おかまに対する偏見はないが、
天使とチャンガールの2枚看板を失った今、
引越ししプラカノンを去った俺にとって、
ここまで来る理由は、もう無かった。
2月14日。
非番のゴーゴーの子から連絡があった。
オンヌット住まいのTちゃんだ。
Tちゃんは人気店のゴーゴー嬢で、
人気嬢だ。
常にお客さんがついていた。
Tちゃんの勤務するゴーゴーバーには、日本から誰かが来るとよく行った。
別にペイバーする訳でも、豪遊したわけでもないが、
映画好き、料理好き、オンヌット住まいという共通点でLineを交換していた。
そして、はじめてご飯を行こうというお誘いが来た。
Tちゃんはプラカノンで美味しいタイ料理があるからといって、
偶然にもこのチャンガールの店に来た。
ここは室内にも部屋があって、音楽の生演奏がある。
やかましくて会話が聞きづらいが、タイ人はこういうのを好む。
俺たちは、魚の蒸したものを食べた。
味はおいしかったとしか覚えていない。
俺はそれどころではない。
2月14日という日。
俺を誘う。
ゴーゴーバーの子。
この後を期待する、いやダメだ。
それでは、その辺の奴と同じだ。
大人の余裕を見せるべきだ。
いや、でも向こうから、いやいや、相手はプロだ。
しかし今日はプライベート。
頭の中は、もんもんだった。
Tちゃんの話を聞くと、
プライベートでも仲の良かった男(日本人)ともめて、
出勤するとそいつに会うかもしれない。
今日はあいつの顔なんて見たくない。
だから、今日は一緒にご飯を食べて欲しかったの。
代役?
俺の存在とは何かと自分に問いかけたが、そんなことはどうでもよかった。
一緒にご飯食べて欲しかったの。
その一言に、
惚れ…かけた。
そのTちゃんとはそれから数ヶ月、
よく遊び、よく飲みに行った。
あの始まりは、
この店だった。
ここは始まりの店だった。
俺たちは、この店を始まりの店と名づけた。
Tちゃんとは今では某理由で連絡は無い。
結局、何も無かったので、あの店が始まりの店とはならなかった。
何も始まりはしなかったが、
映画に行き、料理を作ってきてくれたり、
ビアガーデン行ったり、ボーリング行ったり。
あのときの数ヶ月は楽しかった。
それでよいのだ。
いつか、この店を、始まりの店と呼べる事を願って。
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